認知症透析患者の出血事故
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概要
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認知症が血液透析中の出血事故の原因となることが報告されている.本研究は認知症透析患者の透析終了後における出血事故の実態を調査することを目的とした.平成15年から平成19年の期間に三愛記念そが病院において血液透析を行った患者225名(内入院128名)を対象とした.認知症のない145名の患者中,出血をおこしたのは15名(10%)で計17件の出血であった.一方,認知症患者80名のうち29名(36%)に84件の出血が認められ,認知症のない患者に対し患者数,件数とも統計学的に有意に高い頻度であった(χ2検定,p<0.001).この期間におきた101件の出血のうち,透析中の出血は43件であったが,透析終了以降の出血は58件であった.大量出血事故は,透析中1件であったのに対し,病棟内で8件みられた.大量出血事故の9件は全員認知症患者におきたものであり,出血がおこっても自分で医療従事者に知らせることがないため,発見が遅れたことが原因となった.本研究により認知症透析患者は透析終了後も出血事故の危険が高く,厳重な監視が必要であることが示唆された.
- 2009-01-28
著者
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林 秀樹
千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター
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細井 京子
三愛記念そが病院
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三明 みち子
三愛記念そが病院
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長谷 綾子
三愛記念そが病院
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中村 紀代美
三愛記念そが病院
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藤田 恵利子
三愛記念そが病院
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林 春幸
三愛記念そが病院
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