日本における肛門管悪性腫瘍性病変の現況

概要

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本邦における肛門管悪性腫瘍性病変についての大規模な調査報告は1981年の第14回大腸癌研究会と2003年の第59回大腸癌研究会におけるアンケート調査報告がある． 2003年の集計によると76施設から1,540例が集計され，組織型では腺癌が73.7%でその内訳は直腸型が最も多く52.1%で，肛門腺由来が14.7%，痔瘻に合併が6.9%と続いており，扁平上皮癌は226例，14.7%であった．扁平上皮癌に対する治療は143例，68.4%に直腸切断術が行われていた．放射線治療は手術や化学療法との併用も含め93例に行われており奏効率は63.9%であった．放射線治療単独あるいは化学療法併用症例での奏効率は80.6%と良好な成績であった．全扁平上皮癌の5生率は51.4%であったが，治療開始時期や直腸切断術を含む治療群と直腸切断術を含まない治療群の間に生存率に有意差を認めなかったことより本邦においても今後は放射線化学療法が肛門部扁平上皮癌治療の主流に移行していくものと予想される．
日本大腸肛門病学会の論文
2008-10-01