英語を利用したプログラムを導入することによってもたらされる課題と機会
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概要
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文部科学省は, 日本の研究に重視をおく大学が世界中の大学と競い合うことが可能となるよう, 急速な社会的及び経済的なグローバル化・知性化に対応できる戦略を次々と考え出している. 博士課程の強化はその戦略の一つである. 卒業後に就職先をみつけるのが困難である, という理由から博士課程への進学をためらう日本人学生が数多くいる今, 大学は留学生を頼りにしている. 博士課程に在籍する学生の少なさ故に, 留学生を頼りにしているのはなにも日本だけではなく, より多くの優秀な学生を引きつけるために世界中の大学同士が激しく張り合っているというのが現状である. きわめて優秀な学生を獲得するために, これらの大学は奨学金を提供したり, 卒業後の就職の可能性を示唆したりしているが, 日本のように英語圏でない国の大学にとっては, 奨学金や就職斡旋の他にも, 言葉の壁を取り除くことが必要となってくる. 北海道大学・工学研究科は文部科学省による奨学金を受けて2000年より英語を使用したプログラムを開始している. このプログラムの発足により, 大学院での教授法, 担当教官と学生の師弟関係, 授業での英語の使用, プロフェッショナルな管理体制の必要性などに関して, 新たな挑戦もしくは再度検討する機会が与えられた. この論文では, このプログラムがこれらの課題にどう対処しているのかについて述べていく.
- 2008-09-20