MRSA感染症治療の臨床効果に影響を及ぼす因子と栄養摂取方法に関する検討
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概要
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療に抗菌薬による薬物療法を行っているにも関わらず,重症な感染症患者の多くは栄養状態などの低下があり薬物療法の効果が十分得られない症例がある.そこで本研究では効果に影響を及ぼす因子の解明のため,2003年11月から2006年3月までの期間,抗MRSA薬を投与した64症例を対象に,薬剤投与開始から終了までのCRPの変化を指標に有効群と無効群の2群に分け,生化学データ,薬剤投与状況,血中濃度,抗菌薬に対する感受性および栄養摂取方法を調査した.さらに多変量ロジスティック回帰分析を行った.その結果,TDMの実施は有効群と無効群ではそれぞれ100%と71.9%であり(p=0.004),また多変量ロジスティック回帰分析結果では,年齢(Odds ratio (OR)=0.94),薬剤投与期間中の血清総タンパク(TP)の増加量(OR=2.46)が有意な因子として抽出された.抗菌薬のPharmacokineticパラメータやMRSAの薬剤感受性には有意な差はなかった.さらに有効群では治療期間中のTP増加量が大きかった症例の半数以上は,栄養摂取が経口または経鼻栄養であり消化管を介した経路であった.以上より,感染症治療では適切な抗菌薬の使用だけではなく,栄養サポートチームと密接な連携を図り,栄養摂取方法や栄養状態の改善も重要であると考える.
- 2008-03-25
著者
-
松本 宜明
日本大学薬学部臨床薬剤学研究室
-
飯田 秀夫
国際親善総合病院脳神経外科
-
松本 宜明
日本大学薬学部臨床薬剤学ユニット
-
松本 宜明
日本大学薬学部
-
依田 啓司
国際親善総合病院
-
飯田 秀夫
国際親善総合病院
-
飯田 秀夫
国際親善総合病院感染制御チーム
-
松本 宜明
国際親善総合病院 薬剤部
-
島崎 信夫
国際親善総合病院薬剤部
-
依田 啓司
国際親善総合病院・薬剤部
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