糖転移酵素の発現制御とターゲット糖タンパク質の同定

概要

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細胞や組織からのタンパク質の総合的解析は、個々の疾患関連タンパク質の発現パターンの研究において最も有効な手段である。一方、タンパク質の網羅的分離および同定において、電気泳動の後、質量分析を行う解析方法は、プロテオミクス分析の基本的な方法のひとつである。しかしながら、これらの方法は、必ずしも糖タンパク質糖鎖の同定や構造決定が完全にできるわけではない。現在知られているタンパク質の半数以上は糖タンパク質であるため、基本的なタンパク質解析研究においてその糖鎖解析が要求されるわけである。糖タンパク質の糖鎖構造解析は、バイオマーカー探索、糖タンパク医薬品の品質管理、新薬開発などの分野においてその重要性を増してきている。しかしながら、現在行われているような単なる糖鎖構造を解析するだけの ‘グライコミクス’ 研究では、充分な糖鎖機能解析が行われているとは言い難い。よって、糖鎖機能解析を行うためには、解明しようとしている役割を担う機能分子としての糖鎖構造の解析が必要である。本総説では、α1,6フコース転移酵素 (Fut8) を例に、機能分子としての糖鎖機能解析を紹介する。
2007-11-02