ホスファチジルイノシト-3-キナーゼ阻害薬による関節炎制御
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概要
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関節リウマチは全身性の慢性炎症性疾患であり,進行性の関節破壊により関節機能障害をきたす.関節局所では,炎症性細胞浸潤と腫瘍性の滑膜細胞増殖が認められるが,これらは様々な細胞における細胞内シグナル伝達の過剰亢進によるものである.そのなかでも,ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)は,種々の細胞表面レセプターからのシグナルにより活性化し,細胞の活性化や増殖,分化,接着,遊走など誘導する.PI3Kは,関節リウマチにおいても抗原提示によるT細胞・B細胞活性化,好中球やマクロファージなどの炎症細胞浸潤,滑膜細胞増殖,肥満細胞活性化など,病態の各ステップに深く関与していると考えられる.実際に,最近報告された新しいPI3K阻害薬であるAS-605240 (PI3Kγ選択的阻害薬)や我々が用いたZSTK474は,明らかな毒性を示すことなくコラーゲン誘発性関節炎マウスにおいて関節炎抑制作用を示した.これらのことから,PI3K阻害薬は関節リウマチの新たな治療薬となり得る可能性がある.
- 2007-10-31
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