太陽光併用型植物工場における光の効率的な利用システムの検討
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概要
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今回の実験検討により,特定面からの部分採光によって工場内に光を十分に行き渡らせることができることを検証し,太陽光を考慮した植物工場に関する知見を得ることができた.さらに床下に配置した温度環境制御用空間の効果について確認し,Fig. 9 (a), (b) にそのイメージの一例を示すような,効率的な植物工場に関する提案に結びつけることができた.本提案によって期待される効果は以下のとおりである.1)補光用の照明や空調にかかるエネルギーの消費を抑えることができる.2) 非採光面の有効利用を検討できる.たとえば太陽光発電や太陽熱利用温水設備など屋上を利用した工夫も取り込むことができる.3) 採光面( ガラス面) の縮小によって,植物工場の建築形状の自由度が増大する.これによって周辺景観との調和に配慮する設計が可能となり,都市部の再開発地や工場,学校跡地を利用した植物工場の新設が検討できるようになる.都市住民が憩いの場としても利用できる親和形状の設定も可能である.4) 全面ガラス張りの従来型工場に比べ,適切な壁材の材質を選択すると構造を軽量化することができるため,既存建物の屋上への植物工場の新設が検討できる.5) 特定面からの採光を効率的に利用する技術は,通常側面のみに採光面を有する既存建物を利用した植物工場への用途変更,改築にも適用が可能であり,植物工場の新設による初期投資の負担が軽減され,普及が促進される.これら効率的にエネルギーを利用した植物工場については,今後さらに実規模での検証を始め,工場の全体制御システム,局所での照明や温度の制御など,さらなる効率化の検討を行うとともに,建築構造物としての植物工場のあり方についても研究を行っていく予定である.
- 2007-06-01
著者
-
建山 和由
立命館大学理工学部
-
芦田 恵樹
立命館大学大学院理工学研究科
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清水 智美
立命館大学理工学部 建築都市デザイン学科
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建山 和由
立命館大学
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建山 和由
立命館大学総合理工学院理工学部
-
芦田 恵樹
立命館大学総合理工学院企画課
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