集中治療室における深在性真菌症に対する遺伝子診断の応用
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概要
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集中治療室に入室する患者はさまざまな病態や病期であり, しばしば感染症の同定や治療に難渋する. 深在性真菌症は頻度こそ少ないがこうした疾患のひとつである. われわれは, Candida 属5種とAspergillus fumigatus を同時に同定できる測定系 (Multiplex PCR) を用いて真菌の遺伝子診断を臨床応用してきた.(I) 臨床的意義 : 8例の臨床上深在性真菌症が強く疑われた症例に対して診断と通常の検査を比較したところ遺伝子診断は培養検査に比較して良好な感度 (p <0.05) で白血球数やCRPは高い傾向にあった. 血液, 腹水, 胸水, 髄液などの検体からのPCR陽性結果は臨床所見に合致するものであった. 本測定系での測定感度は50-100CFU/ml 程度であったことから, 常在菌との区別の困難な痰, 尿の陽性例においても相当量の菌数の存在を意味しており治療開始の判断材料となった.(II) 工夫 : 小児悪性腫瘍症で真菌血症を疑う5症例に対してMultiplex PCR法による遺伝子診断を実施した. 初回の検査で陽性であったのは20検体中10検体 (50%) であった. 4検体については1-2日培養後の遺伝子検査も実施したところ1検で陽性化した. 培養後の遺伝子診断は真菌感染症の診断率向上に寄与すると考えられる.ベッドサイド検査と違いまだ十分簡便とはいいがたいが適中率を向上させることで多種同時測定系の臨床意義は高まっていくものと思われる.
- 日本医真菌学会の論文
- 2006-10-31
著者
-
武澤 純
名古屋大学
-
有嶋 拓郎
名古屋大学救急集中治療部
-
武澤 純
名古屋大学大学院医学研究科救急・集中治療医学
-
有嶋 拓郎
名古屋大学 大学院医学系研究科救急・集中治療医学
-
有嶋 拓郎
名古屋大学大学院医学研究科救急・集中治療医学
-
有嶋 拓郎
名古屋大学医学部附属病院 救急部集中治療部
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