ヒトにおける衝動性と5HT_<2A>受容体遺伝子多型との関連性 : Go/Nogo 課題を用いた検討
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概要
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5HT2A受容体遺伝子多型がヒトの衝動性に与える影響について,行動科学的パラダイムにもとづくGo/Nogo課題による検討を行った.Go/Nogo課題はブラインド課題として,質問紙によるスクリーニングでは捉えることのできない衝動性にもとづく行動反応の検出が可能となると予測される実験システムである.71名の健常成人に対してGo/Nogo課題の実施の後に,末梢血リンパ球よりゲノムDNAを抽出し,5HT2A受容体遺伝子を解析した.実験の結果,A-1438Aホモ接合体グループにおける衝動的反応が,とくにG-1438Gホモ接合体グループと比較して顕著となることが示された.また,血液サンプルを供与した後,被験者が行った主観的質問紙指標TCI(Temperament and Character Inventory)と5HT2A受容体遺伝子多型との関連性は認められず,質問紙評価による衝動性との関連性について否定的な従来の知見を支持する結果となった.今回実施したGo/Nogo課題は行動科学的パラダイムにもとづくブラインド課題であったが,遺伝子多型性と特定の心理機能との関連性を検討する上で,複数の遺伝子多型のこころへの交互作用の検討にも威力を発揮すると考えられ,こうした方法論は今後の遺伝子研究において益々重要なものになっていくと思われる.また,臨床応用に有効なテストバッテリーシステムの開発とともに,衝動的行動のメカニズムの解明により,脆弱性の改善・治療につながる薬開発への知見となることも期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2006-01-01
著者
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