自然免疫の一翼を担うフィブリノーゲン様ドメイン含有タンパク質ファミリーの構造と生理機能
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概要
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フィブリノーゲン(フィブリン)の存在は,そのゾルゲル変換という視覚的にも明らかな特徴により,歴史的にも古くから知られていたが,実際にヒト血漿から精製され,構造研究が盛んになったのは1950年代後半である.その後,種々の動物からフィブリノーゲンが精製・解析されると,フィブリノペプチドが分子進化の一例として極めてユニークであることなども判った.一方,技術の進歩に伴い,タンパク質レベルに加えて遺伝子レベルの解析が可能になると,あらゆる生物から新規分子の発見や構造解析のラッシュが始まり,これらの中にフィブリノーゲン様の構造を持つものが続々と同定された.それらの機能解明はこれからであるが,驚くべきことに,機能の解っているもののほとんどは血液凝固ではなく,自然免疫や血管新生,発生分化など,実に多様な機能に携わっている事が判明した.この様に,これまで凝固因子の代表と認識されてきたフィブリノーゲン分子であるが,その構造を持つものが多数発見されたことにより,フィブリノーゲン様ドメインは,多細胞動物界全般に普遍的に存在する,新たな構造・機能ドメインとして再定義できよう.この古くて新しい概念であるフィブリノーゲン様ドメインについて,本稿では,主に自然免疫の一翼を担うファミリーであるフィコリンとタキレクチンを中心に解説する.
- 日本血栓止血学会の論文
- 2004-06-01
著者
-
水口 純
(財)化学及血清療法研究所(化血研)
-
岩永 貞昭
(財)化学及血清療法研究所(化血研)
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岩永 貞昭
財団法人 化学及血清療法研究所
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岩永 貞昭
(財)化学及血清療法研究所
-
極檀 聡太郎
(財)化学及血清療法研究所, 血液製剤研究部
-
嘉悦 洋
(財)化学及血清療法研究所, 血液製剤研究部
-
嘉悦 洋
(財)化学及血清療法研究所血液製剤研究部
-
極檀 聡太郎
(財)化学及血清療法研究所 血液製剤研究部
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