Vacuum-assisted closure (VAC)が奏効した術後胸骨骨髄炎の1例
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概要
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症例は62歳, 男性, 陳旧性心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術後に胸骨骨髄炎を合併した.本例は心機能が悪く精神的にも不安定であったため, 侵襲の低いvacuum-assisted closure (VAC)を選択した.VACは創面を密封して持続的に陰圧吸引することで創傷治癒を促す方法である.難治創に対する新しい治療法として紹介され, 縦隔炎に対する有効性も報告されている.しかし本邦では, 既製のVACシステムは入手しがたく, 医療器具としても認可されていない.われわれはポータブル低圧持続吸引システム(J-VAC^R)を用いて簡易システムを作り, 本例に対して試行した.その結果, 約3週間の治療にて良好な創傷治癒を得ることができた.軽量な簡易システムは携行性に優れており, 治療に関わる苦痛, ストレス, 労力, 時間, 経費の軽減効果も期待できる.VACは術後胸骨骨髄炎に対する有用な治療法の一つであり, とくにハイリスク例には第1選択になりうる.また, われわれが試みた簡易システムは, 患者の移動制限を解除できる点で優れている.
- 2005-05-15
著者
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