急性腸間膜虚血症49例の臨床的検討
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概要
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目的 : 急性腸間膜虚血症は近年増加傾向にあるが, 診断や治療に難渋することが多く依然予後不良な疾患である.方法 : 49手術例を生存(n=20), 死亡(n=29)群に分け, 患者背景, 検査所見, 術中所見, 治療法などについて解析し, 臨床的特徴, 予後因子について検討した.結果 : 術後救命率は41%であった.平均年齢70.7歳, 男女比は33 : 16, 94%に循環器疾患の合併を, 76%に心大血管手術既往歴を認めた.27%で術前確定診断が得られ, 腹部血管造影施行例は全例診断可能であった.予後因子の検討では虚血性心疾患, 急性大動脈解離を基礎に有する症例で術後死亡率が高かった.また, 術前後のLDH, GPT, Cre, 術後B.E.は生存, 死亡群間で有意差を認めた.腸管虚血範囲が上下腸間膜動脈双方の支配領域に及ぶ2枝病変では, 一方の支配領域内にとどまる1枝病変に比べ有意に予後不良であった.手術までの時間, 術式, Ca拮抗剤投与の有無は予後に影響を与えず, 術後へパリン投与群で有意に予後良好であった.考察 : 本疾患の予後には基礎疾患, 周術期の肝腎機能障害の有無, 虚血原因である血管病変の範囲, 術後アシドーシス遷延の有無が重要である.診断には腹部血管造影が有用であり, 治療の際は臓器障害発症以前に治療を開始すること, 術中の虚血腸管の完全な切除, 術後腸管虚血の遷延, 再発を予防することが重要である.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2005-04-01
著者
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