イネの浮遊葯培養における葯密度の低下およびカルスに付着した液体培地除去による培養効率の向上
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イネの浮遊葯培養において, カルス誘導時の葯密度(培地1ml当たりの置床葯数)がカルス形成率におよぼす影響, およびカルスに付着した液体培地の除去が植物体再分化率におよぼす影響を明らかにした.生理的に均質な葯を供試するため, ポットに密植栽培したイネの主稈穂の特定位置の穎花から1核中期〜後期の花粉を含む葯を採取した.1区当たり1000葯前後を供試し, カルス誘導(液体培地で35日間), カルス増殖(寒天培地で7日間), 植物体再分化(寒天培地で60日間)の三段階培養法で培養した.水稲品種「キタアケ」の葯を, 0.9葯/ml〜12葯/mlの範囲で5段階の密度で液体培養しカルスを誘導した.カルス形成率は, 0.9葯/ml〜6葯/mlの範囲では葯密度の低下に伴ない増加したが, 6葯/mlと12葯/mlとの間では明らかな傾向が認められなかった.カルス誘導時の葯密度は緑色植物再分化率に影響しなかった.次に, 水稲品種「キタアケ」および「きらら397」の葯を供試し, 液体培地で誘導したカルスを寒天培地に移植する時に, カルスに付着した液体培地を1〜2秒間濾紙で除去すると, 除去しなかった場合(慣行区)に比べて緑色植物再分化率が13〜18%増加した.以上の結果より, イネの浮遊葯培養の効率は, カルス誘導期に3葯/mlあるいはそれ以下の葯密度で培養すること, および液体培地で誘導したカルスを寒天培地に移植するときにカルスに付着した液体培地を濾紙で1〜2秒間除去すること, によって高められる.
- 日本育種学会の論文
- 2005-06-01
著者
-
石村 櫻
拓殖大学北海道短大
-
木下 厚
元拓殖大学北海道短大
-
佐竹 徹夫
元拓殖大学北海道短大
-
木下 厚
拓殖大学北海道短期大学
-
岡本 吉弘
拓殖大学北海道短期大学
-
佐竹 徹夫
拓殖大学北海道短期大学
-
岡本 吉弘
酪農学園大学
関連論文
- 苫小牧東部地域に自生するイソツツジ(Ledum palustre var. diversipilosum NAKAI)の生育特性
- 北海道野生集団におけるオオサクラソウの葉緑体ゲノムの遺伝的変異(平成21年度年次講演会一般講演)
- 紫黒米(黒米)新育成ウルチ品種「TMK^*」の発芽について
- 紫黒米(黒米)モチ品種「きたのむらさき」と新育成ウルチ品種「TMK^*」の育成
- 北海道におけるオオサクラソウ(Primula jesoana)の葉緑体ゲノムの遺伝的変異
- 紫糯米(黒米)'きたのむらさき'の主要アントシアニンの同定
- イネの浮遊葯培養における葯密度の低下およびカルスに付着した液体培地除去による培養効率の向上
- イネの浮遊葯培養におけるカルス増殖様式の解析
- イネの浮遊葯培養におけるカルス増殖様式の解析
- イネの浮遊葯培養において培養容器の蓋をパラフィルムで封じないことによるカルス形成率および植物体再分化率の向上
- イネ葯の昼夜変温培養によるカルス形成率および植物体再分化率の向上
- 育種学雑誌の論文・講演発表数からみたイネ葯培養研究の年次推移
- イネの葯培養におけるカルス形成に最適の花粉発育時期の決定
- イネの葯培養において暗黒およびゲランガム培地で培養することによるカルス形成率の向上
- ソバによる雑草の抑制
- メロン子葉片培養時の不定芽形成能の品種間差異ならびにGA_3及びNaCl添加効果
- イネ葯の浮遊培養 : カルスからの植物体再分化率を向上させる二つの培養操作
- イネ葯の浮遊培養 : 葯密度およびパラフィルム使用の有無によるカルス形成率の差異
- イネ葯の浮遊培養 : 昼夜変温培養によるカルス形成率の増加(その2)
- イネ葯の浮遊培養 : カルス誘導に最適の花粉発育時期
- イネ葯の浮遊培養 : 昼夜変温培養によるカルス形成率の増加
- 展望・解説 イネ育種における葯培養の利用--道・県の育種担当者に対するアンケート調査
- 北海道における水稲疎植栽培試験
- イネの葯培養実験においてカルス形成能のほぼ等しい二群に分けるための穎花内葯二群別培養法
- 水稲新品種「上育453号」および系統「上育455号」の葯培養効率
- ミゾソバにおける葉緑体ゲノムの遺伝変異(平成22年度年次講演会一般講演)
- イネの葯培養によるガメトクローン変異および穂別系統内分離(平成22年度年次講演会一般講演)
- イネの浮遊葯培養における培養効率の改善に関する研究
- メロンの組織培養による大量増殖に関する基礎研究
- ミゾソバ(Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H. Gross.)における葉緑体ゲノムの遺伝変異
- イネ葯を液体培地で前培養することおよび溝のついた寒天培地で培養することによるカルス形成率の向上
- キリンソウ (Sedum aizoon L. var floribundum Nakai) の越冬芽分化におよぼす照明の影響
- キリンソウの茎切片からの植物体再生(平成23年度年次講演会一般講演)
- 北海道浜中町におけるゼンテイカの葉緑体ゲノムの遺伝変異(平成23年度年次講演会一般講演)
- 道東と道南に自生するゼンテイカの葉緑体ゲノムの遺伝変異