神経毒性のリスク評価について
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概要
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最近, 農薬を含めた化学物質の安全性を評価する各種試験ガイドラインに神経毒性試験が組み込まれ, 神経毒性に高い関心が集まりつつある。しかしながら, 試験結果の評価および毒性学的考え方については確立しているとは言い難い。本稿では, EPAの神経毒性評価法について説明するとともに, 著者らの経験を基に各種エンドポイントにおける問題点について述べる。EPAは神経毒性評価に必要な科学的根拠の提示, 考え方の統一を目的とし, 1995年にEPAは神経毒性リスク評価ガイドラインを公表した。神経毒性として毒性学的重要度が高いものとして, 非可逆性のもの, 回復性が遅いもの, 間欠的影響, 職業上および環境曝露濃度で起こるもの, 潜在性のもの, 進行性のものを挙げており, 一方, 回復性のものについては重要度は低いとしている。評価上のエンドポイントとしては形態学的影響, 機能学的影響に大きく分けられ, 機能学的影響としては神経生理, 神経化学, FOBおよび自発運動量等の行動学的影響が挙げられる。これらにおける変化は, 神経毒性以外の全身性の影響によるものや, 用量相関性が認められないものもあり, 総合的に判断する必要がある。また, 発達神経毒性については, 動物種により脳の発達時期が異なるので, それを考慮する必要がある。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1998-05-09
著者
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細川 俊治
住友化学工業株式会社宝塚総合研究所安全性研究所
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辻 良三
株式会社住友化学工業生物環境科学研究所
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奥野 泰由
住友化学工業株式会社生物環境科学研究所
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奥野 泰由
住友化学工業 生物環境科学研
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奥野 泰由
住友化学工業(株)生物環境科学研究所
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辻 良三
住友化学工業株式会社生物環境科学研究所
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細川 俊治
住友化学工業 生物環境科研
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