急性腹症にて発症した肺扁平上皮癌の小腸転移の1例
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概要
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今回,我々は肺癌術後に急性腹症で発症した扁平上皮癌の小腸転移の1例を経験したので報告する.症例は78歳の男性で,肺扁平上皮癌に対し右肺下葉切除術を施行された.その3か月後に急激な腹痛出現したため当院受診した.腹部平坦で筋性防御はなく,下腹部に圧痛を伴う手拳大の腫瘤を触知した.腹部CT検査にて径10cm大の腫瘍が認められた.症状が軽快したため精査を行ったが,腹腔内腫瘍以外肺や肝など特に異常は認められなかった.開腹手術を施行すると,回盲部より60cmの回腸に腫瘍が認められ,中が自壊しており膿の貯留が認められた.術中病理診断で扁平上皮癌の診断を得たため,肺癌の小腸転移と考え小腸部分切除を行った.術後,術前に認められなかった多発肝転移が認められ,術後81日目に死亡した.肺癌の小腸転移は比較的まれであるが,消化器症状がある場合は化学療法の副作用とともに考慮に入れるべきである.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2004-06-01
著者
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