成人難治てんかん患者の社会出立を可能にした2つの試み
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概要
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成人難治てんかん患者ならびに家族にとって発作の存続は大きな心理的・経済的障害となるが、それにもまして発作のために就業の機会が失われるなど社会生活の自立が著しく制限されつづける社会的障害は大きな問題である。本邦の現状では、この社会的障害を解決する途が十分に敷かれているとは言えない。2例の成人難治てんかん患者の1例は、右側頭葉内側にてんかん焦点をもつ側頭葉てんかんで、発病以来21年目の22歳に標準的前側頭葉切除術を施行し、発作の完全消失を契機に就労が可能となり、術後4年半経た現在も発作がない。もう1例は軽度の知的障害をもつ後頭葉てんかんで、薬物治療に抵抗し現在も発作が続いているが、精神障害者の授産施設に入所し社会参加が可能になった。成人難治てんかん患者では、抗てんかん薬による治療の限界を適切に見極め積極的に外科治療を導入する配慮が、手術を施さない事例には施設入所など種々の社会資源を活用して社会的自立を目指す処遇が必須である。
- 日本てんかん学会の論文
- 2002-02-28
著者
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大沢 武志
黒石あけぼの病院
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松田 一己
国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター
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八木 和一
国立療養所静岡神経医療センター
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八木 和一
独立行政法人国立病院機構静岡てんかん神経医療センター
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松田 一己
国立療養所静岡東病院
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松田 一己
国立てんかんセンター
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八木 和一
国立療養所静岡神経医療センター てんかんセンター 小児科
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八木 和一
国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)リハビリテーション部門
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八木 和一
国立療養所静岡東病院
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