局所陰圧吸引療法とロッキングプレートを用いて治療した前腕開放骨折の一例
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概要
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A 91-year-old female sustained injuries to her left forearm while walking across acrosswalk. X-rays showed left radial shaft and ulna shaft fractures, and the injury was a type IIIB open fracture. On the day of admission, irrigation and debridement of the open wound, and temporary fixation of theradius and ulna using an external fixator and a Kirschner wire were peformed. Six days after the surgery, we used negative pressure wound therapy (NPWT) using the V.A.C.ATS® system for the open wound. Thirteen days after the first surgery, definitive fixation was performed by using locking compression plates, and full thickness skin grafting was undertaken for the open wound. NPWT is atreatment that accelerates the wound healing process through the delivery of continuoussubatmospheric pressure within a closed environment. In our case, we could reduce the healing period of the soft tissue and could convert to the definitive fixation in a timely fashion. NPWT is thought to be a useful adjunct in the management of the soft tissues of open fractures.我々は,局所陰圧吸引療法とロッキングプレートを用いて治療した前腕開放骨折(Gustilo IIIB)の一例を経験したので報告する.症例:91 歳女性.横断歩道を歩行中にバイクと衝突し受傷した.左前腕の変形と左前腕背側に18 ×4 cm の開放創を認めた.レントゲンにて左橈尺骨骨幹部骨折(AO 22-B3.3)と診断した.受傷当日に洗浄・デブリドメント,橈骨創外固定,尺骨髄内固定(K-wire)を行った.受傷6日目よりV.A.C.ATS® system による局所陰圧吸引療法を開始した.開放創の肉芽形成は良好で,受傷13 日目にロッキングプレートを用いた橈尺骨骨接合術ならびに全層植皮術を行った.術後11週の時点で感染徴候は認めなかった.Gustilo IIIB開放骨折の一般的な治療は,徹底的なデブリドメントと創外固定による一時的固定,軟部組織の修復,そしてプレートなどの内固定材料による最終的な固定である.一時的な固定から最終的な固定に時期を逸せずに移行するためには,開放創が感染を合併させずに,開放創を早期に被覆する必要がある.V.A.C.ATS® system による局所陰圧吸引療法を用いることで,良好な肉芽組織の形成を促進することができた.局所陰圧吸引療法は開放骨折の軟部組織治療に有用な補助療法であることが示唆された.
- 2011-10-25
著者
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