吉行淳之介『男と女の子』--「戦後」への適応
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概要
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吉行淳之介の『男と女の子』は、吉行初の長篇作品でありながら、ほとんど論じられることの無い作品である。だが本作品は、吉行淳之介という作家を論じる際にも、同時代の社会状況の動きを見る際にも、重要な問題をいくつも孕んだ小説だといえる。『男と女の子』には一九五〇年代の文化、それも戦争の影が色濃く残ってはいない文化的な事象が多く描き込まれている。たとえばテレビの一般化や、吉行自身が関わった「別冊モダン日本」に代表される雑誌メディアの変化などがそれである。そしてそうした戦後空間に、適応できるか、できないかという構図でこの小説は成立している。それをその二項対立のあわいに位置する岐部という主人公の揺れ動きを追うことで描いたのである。また、本稿では吉行淳之介の「純文学」以外の仕事に関して、特に中間小説誌掲載作品の特徴に関しても論じた。雑誌メディアの違いで作家がどう対応したかのひとつの事例として吉行を扱った。
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