日本産森林依存性鳥類種数の推定
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概要
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モントリオール・プロセス(温帯林等における持続可能な森林管理のための基準と指標)における基準のひとつである生物の種多様性の指標として利用するために、日本産の森林依存性鳥類種数、日本の各森林帯における森林依存性繁殖鳥類種数、森林依存性レッドリスト種数を推定した。森林依存種は“生息場所の全て、あるいは一部として森林を必要とする種”と定義し、できる限り多くの種を含むようにした。9種の絶滅種と116種の迷鳥を除いた日本産鳥類417種のうち、214種は森林に依存していると考えられ、うち170種は日本国内で繁殖する種であった。日本の各森林帯で繁殖する烏類の種数は、高山帯林14、亜高山帯林86、汎針広混交林100、冷温帯林110、暖温帯林95、亜熱帯林57であった。日本産鳥類を種・亜種レベルで見ると、絶滅種・亜種と迷鳥を除いた531種・亜種のうち310が森林依存性であり、そのうち76がレッドリストに掲載され、うち58は絶滅危惧種であった。今回の包括的な森林依存性烏類種数は、これまで提出された推定値より大きいが、モントリオール・プロセスの主要な目的である参加各国の議論のため数字としては適していると考える。ただし、鳥類の種数は撹乱された森林で増加することもあるため、種多様性の指標である“森林依存種数”を、モニタリング調査で記録された森林依存種数の大小で単純に評価することはできない。実用的な評価のためには、もう一つの指標である“レッドリスト種の状態”のように、何らかの根拠を持った指標種の利用が必要となるだろう。
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