室戸層の地質構造について
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概要
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四国室戸地方に発達する上部漸新∿下部中新統の室戸層は, フリッシュ型の地層より成り, 中新世中期の激しい全般的褶曲作用を受けている。褶曲の程度は開いたものから等斜褶曲まで種々である。褶曲構造は断層系によってブロック状に断ち切られ, 各ブロックはそれぞれに特徴的な岩相および褶曲形態を示している。調査地域の室戸半島では, 西海岸を含む地域と東海岸地域では構造の一般方向および褶曲形態に大きな差があるようである。すなわち西海岸地域では褶曲は閉じたものから等斜褶曲であり, 北北東あるいは東北東の方向性を持った褶曲軸面を示し, 褶曲軸の傾斜は一般に緩い。一方, 東海岸地域の褶曲は, 北西あるいは西北西の軸面を持ち急傾した軸とかなり開いた形を有している。 室戸層にはまた上記大構造の外にも, 各種の小構造がみられる。そのうちのあるものは大構造を形成させた過程に関係づけられるが, 他のものはその後さらに起った構造運動の結果である。本論文は前者の例として砂岩レンズおよび褶曲作用に伴う層面滑りを論じ, また後者としてキンク・バンドを後期変動の一つの証拠として扱った。とくに, キンク・バンドの解析の結果, 全般的褶曲作用の後さらに本地域に北東-南西方向の圧縮力が働いたことがあると示唆される。
- 国立科学博物館の論文
- 1976-10-29
著者
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