室戸層の層序, 貝化石および時代について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
西南日本外帯に属する四国室戸地方には激しく構造運動を受けた室戸層が発達している。室戸層の地層は主としてフリッシュ型の堆積物より成っており, 砂岩頁岩互層を主体にして塩基性火成岩およびその火山砕屑岩, 礫岩, 石灰岩などを挾在している。調査地域の室戸層は全体で 3,000m を超えると推定され, 主に堆積相に基づいて4層に分けられる。これらはすべて整合であり, 最下位A_1は火成岩・火山砕屑岩を含む砂岩頁岩互層, その上のA_2およびB_1は典型的に発達したフリッシュ型互層, 最上位のB_2は泥質相が優勢で石灰質団塊を含む地層である。室戸層はフリッシュ型堆積物に特有の堆積学的特徴および構造を示している。 室戸層はこれまで不整合的に四十寺山層の下にあると考えられてきた。しかし本研究において, 新たに発見した化石および以前に報告されている室戸層各層準およびいわゆる四十寺山層から産出した化石を詳細に検討した結果, 両層はともに上部漸新統あるいは下部中新統であることが明らかとなった。また野外においても, 四十寺山層は, 筆者らのB_2に整合におおわれていることが明らかとなった。よって, いわゆる四十寺山層と室戸層との間にあると仮定された不整合は, その存在の根拠はないと考えられる。
- 国立科学博物館の論文
- 1976-10-29
著者
関連論文
- 室戸層の地質構造について
- 室戸層の層序, 貝化石および時代について
- 四万十帯(漸新世)から産したAkebiconcha ucimuraensis(KURODA)〔英文〕
- 瀬戸川層群から産した漸新世貝化石〔英文〕