小笠原諸島で採集されたモジゴケ科地衣類の稀種
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概要
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1. Graphina intortula (STIRT.) ZAHLBR. 本種は日本とインドだけにしか知られていない稀種である。日本の産地としては四国の滑床, 種ケ島, 屋久島の3ケ所が知られていたが, 父島でも発見された。AWASTHI (1973) は本種を Graphina dimorphodes の異名として発表したが, 本種がサラチン酸を含むのに対し G. dimorphodes はノルスチクチン酸を含むのでこの両種は別種と考えられる。2. Graphis aphanes MONT. et V. D. BOSCH 本種は今までにジャワ島からただ1回報告されていただけであったが, 母島にも産することが明らかになった。果殼や胞子の形状は日本特産種の Graphis oshioi に酷似するがノルスチクチン酸を含まないので区別できる。3. Graphis batanensis VAIN. 本種はフィリッピン特産種と考えられていたが父島でも見つかった。Graphis caesiella に近いがスチクチン酸を含みノルスチクチン酸を欠くので区別できる。4. Graphis rufula MONT. 本種は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布するが日本では母島からしか知られていない。炭化しない果殼と四室の胞子を持ち二次代謝産物を含まないので近縁種から容易に区別できる。5. Phaeographis planiuscula (MONT. et V. D. BOSCH) MULL. ARG. 東南アジア特産種で今までにジャワ島と父島の各1ケ所から報告されていた。父島や母島ではモンテンボクやテリハボク等の樹皮上にごく普通にみられる。また国立科学博物館の黒川逍博士が台湾で採集された1標本も本種と同定される。日本特産種の Phaeographis vicarians に近いが, 果殼は下部しか炭化しないので区別できる。
- 国立科学博物館の論文
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