周産期に多発したサフォーク種繁殖羊の慢性銅中毒
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概要
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サフォーク種羊12頭を飼養する農場で,周産期の繁殖用羊4頭及びその子羊2頭が食欲不振と起立不能を呈し死亡した.肝臓の黄褐色化がみられ,肝臓中銅濃度は平均328±59μg/g(湿重量)であり,病理組織学的に肝臓に銅の蓄積を認めたため銅中毒と診断した.この農場では,原発事故によって放牧ができなかったため,配合飼料を1日1頭当たり600g(銅濃度:45mg/kg乾物)及び乾草(銅濃度:5mg/kg乾物)を5カ月間に渡って繁殖羊に給与していた.同居羊の血清肝酵素(GOT,GGT及びLDH)は高い値で推移し,農場全体が慢性銅中毒の状態であったと推定されたが,非妊娠羊では,妊娠羊に比べて低い値で推移していた.以上の結果から,銅含量の高い配合飼料の長期的な摂取によって過剰な銅が肝臓に蓄積し,肝機能を悪化させたことに加えて,妊娠及び分娩に伴うストレス負荷が発症を誘発したと考えられた.
著者
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松本 裕一
福島県県中家畜保健衛生所
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大西 英高
福島県県中家畜保健衛生所
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壁谷 昌彦
福島県県中家畜保健衛生所
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澤田 浩
(独)農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所
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宮本 亨
(独)農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所
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木野内 久美
福島県県中家畜保健衛生所
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原 恵
福島県県中家畜保健衛生所
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森澤 道明
もりさわ動物医院
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