口蓋裂症例の滲出性中耳炎における鼓膜チューブ留置術の留置期間の検討
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概要
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口蓋裂症例は高率に滲出性中耳炎(Otitis Media with Effusion:以下OME)を合併し,難治例が多い.鼓膜チューブ(以下チューブ)の長期留置が必要となりやすいが,口蓋裂症例の適切な留置期間に関しては定まっていない.口蓋裂症例のチューブ留置術後の治療成績から適切なチューブ留置期間について検討を行った.対象は2001年1月より2004年12月の間に,昭和大学病院にて口蓋形成術を施行され,6歳以降まで観察しえた口蓋裂206例412耳である.OMEに対しチューブ留置術が施行された症例は全体の45.1%にあたる93例179耳であった.最終観察時におけるOMEの経過を以下のように定義した.チューブの再留置が行われた症例を再留置,OMEが治癒した症例を経過良好,1年以上鼓膜穿孔が残存した症例を穿孔残存とした.また,口蓋形成術と同時にチューブ留置術が施行された症例を1歳時留置群,口蓋形成術以降にチューブ留置術が施行された症例を幼児期留置群とした.1歳時留置群と幼児期留置群のOMEの経過別の平均留置期間を検討した.1歳時留置群の平均留置期間(mean±S.E.)は再留置例,経過良好例,穿孔残存例の順に22.3±2.4か月,32.6±1.9か月,43.9±4.1か月であった.各経過の留置期間に有意差が認められた.幼児期留置群の平均留置期間では,各経過の留置期間に有意差は認められなかった.経過良好例の平均留置期間の比較では,幼児期留置群は1歳時留置群よりも有意に短い結果であった.次に,1歳時留置群において留置期間別のチューブ再留置率と穿孔残存率を検討した.37か月以上では有意にチューブ再留置率が低くなることが認められた.また,49か月以上では穿孔残存率が28.6%と高くなる傾向を認めた.これらの結果より,口蓋形成術時にチューブ留置術を施行した場合の初回チューブの適切な留置期間は37~42か月と考えられた.また,口蓋形成術以降にチューブ留置術を施行した場合は1歳時留置群より留置期間を短くする必要があると考えられた.
著者
-
野垣 岳稔
昭和大学横浜市北部病院耳鼻咽喉科
-
工藤 睦男
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
小林 一女
昭和大学医学部耳鼻咽喉科
-
山田 尚宏
昭和大学医学部耳鼻咽喉科
-
許 芳行
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
古田 厚子
昭和大学医学部耳鼻咽喉科
-
洲崎 春海
昭和大学医学部耳鼻咽喉科
-
古田 厚子
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座
-
許 芳行
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座
-
池田 賢一郎
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座
-
山田 尚宏
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座
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