当院における腹腔鏡下膀胱全摘除術の初期経験

概要

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（目的) 膀胱癌に対する腹腔鏡下膀胱全摘除術が，有効な手技であるかを評価するために，当院での初期経験を解析した．（対象と方法) 30例の膀胱癌に対して腹腔鏡下膀胱全摘除術を行った．手術成績として，手術時間，気腹時間，出血量，術中ならびに術後合併症を検討した．術後，食事開始まで，カテーテル抜去まで，退院までの日数を検討した．生存曲線を製作し，無増悪生存率と全生存率を検討した．また，単独術者が行った10例の手術時間と出血量の経時的推移を評価した．（結果) 平均年齢は68（54～81）歳，男性26例，女性4例であった．尿路変更は26例に回腸導管，4例に回腸利用代用膀胱造設を施行した．尿路変更は，いずれも体外で行った．17例にプラチナムを含む術前後化学療法を行った．平均手術時間と気腹時間は，それぞれ684（398～950）分と418（235～660）分であった．術中の主な合併症は，尿管断裂と出血であった．術後に，イレウスと急性腎盂腎炎をそれぞれ3例に認めた．観察期間中央値14.9（0.7～35.9）カ月で，7例が再発し，2例が膀胱癌により死亡した．術後1年での無増悪生存率と全生存率は，それぞれ75.2%と100%であった．（結語) 膀胱癌に対する，腹腔鏡下膀胱全摘除術は安全かつ有効な手術手技と考えられた．
一般社団法人日本泌尿器科学会の論文

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