片側の延髄および上位頸髄梗塞により不全四肢麻痺を呈した1 例
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概要
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要旨:症例は74 歳の男性.急性発症の右片麻痺のため救急搬送された.神経学的に意識障害,構音障害,顔面を含む右不全片麻痺を認め,NIHSS スコア17/42 点であった.入院当日のMRA で右椎骨動脈の描出が不良であった.翌日の頭部MRI で延髄正中から右背外側にかけて拡散強調像で高信号を認めた.その後,病変は下位延髄から上位頸髄に伸展していたことが判明した.CT 血管造影では右椎骨動脈に解離は認められず近位部に強い狭窄を認めた.意識障害改善後の診察で右不全片麻痺に加え左不全片麻痺および左半身感覚障害が明らかとなった.本症例は右椎骨動脈の閉塞に伴い延髄錐体交叉を含む虚血性病変により,交叉前および交叉後の線維がともに障害を来し同側優位の不全四肢麻痺と対側の感覚障害を呈したと推定された.延髄を栄養する血管は多様であり,本症例のように頭尾軸に長い虚血性病変を来し片側の病変で四肢麻痺を呈することは稀と考え報告する.
- 一般社団法人 日本脳卒中学会の論文
著者
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萬年 徹
社会福祉法人三井記念病院
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杉本 泉
社会福祉法人三井記念病院神経内科
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本田 智子
社会福祉法人三井記念病院神経内科
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濱田 健介
社会福祉法人三井記念病院神経内科
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櫻井 靖久
社会福祉法人三井記念病院神経内科
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萬年 徹
社会福祉法人三井記念病院神経内科