VSAによるVFにて心停止し,Arctic Sunによる軽度低体温療法にて完全社会復帰可能となった若年者の1症例
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概要
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症例は,29歳,男性.冠危険因子は喫煙,高血圧,脂質異常症.既往歴家族歴に特記事項なし.2011年3月上旬,自動車内で気分不良が出現し,その後心肺停止となった.By-standerによる心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation;CPR)を実施されつつ救急要請された.救急隊実施のモニター波形は心室細動(ventricular fibrillation;VF)で直ちにAED実施され搬送された.蘇生後の心電図上,V1〜6に著明なST上昇が認められたため,急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)を疑い,輸液,ヘパリン投与,ニトロ製剤点滴などを実施しながら緊急冠動脈造影(coronary angiography;CAG)を実施した.LAD seg.6に99%狭窄を認めたが,硝酸薬冠注にて狭窄が解除されたため,冠攣縮性狭心症(vasospastic angina;VSA)と診断した.心肺停止発生時の初期調律がVFであったことと,心肺停止蘇生後の意識レベル低下の遷延していることで低体温療法の適応と判断した.Arctic Sunによる軽度低体温療法を実施し後遺症なく完全社会復帰に成功した.当院でのArctic Sunによる軽度低体温療法の経験について若干の文献的考察を含め報告する.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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阪本 貴
市立福知山市民病院
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西尾 学
市立福知山市民病院
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阪本 貴
市立福知山市民病院循環器内科
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足立 淳郎
市立福知山市民病院循環器内科
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酒井 千恵子
松下記念病院循環器科
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角谷 慶人
市立福知山市民病院循環器内科
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松永 晋作
京都市立病院循環器内科
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