国民生活基礎調査匿名データにおける世帯構造と内分泌代謝疾患の通院との関連
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概要
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目的 本研究では,平成16年度国民生活基礎調査の匿名データに基づき単独世帯と内分泌代謝疾患通院との関連を解析した。<br/>方法 統計法第36条に基づき申請・入手した国民生活基礎調査匿名データ B を利用した。対象者は20歳以上の者とし,年齢,医療機関への入院・入所者,喫煙習慣,日常生活動作に関する障害(以下,ADL 障害),就業が不詳のものを除外した11,928人とした。内分泌代謝疾患通院のリスクと世帯構造との関連の検討にはロジスティック回帰を用い,結果変数は内分泌代謝疾患の通院有無,説明変数として世帯構造(単独世帯,同居世帯)と年齢層(20–49歳,50–64歳,65歳以上)をそれぞれ投入し,調整因子として就業有無,喫煙状況,ADL 障害有無を加え解析した。年齢と世帯構造の交互作用の有無は尤度比検定を用いて検討した。<br/>結果 内分泌代謝疾患の通院者数は男性443人,女性529人であった。男性では,世帯構造でみると,単独世帯者では同居世帯者よりオッズ比は高くなった[単独世帯のオッズ比1.62(95%信頼区間:1.03–2.56)]。また,参照群を20–49歳とすると,内分泌代謝疾患通院に関するオッズ比は年齢カテゴリの上昇に伴い増加傾向を示すが,65歳以上ではその増加傾向は鈍化した。年齢,世帯構造と内分泌代謝疾患通院の関連には有意な交互作用が認められなかった。一方,女性では世帯構造,単独世帯者と同居世帯の間では,明確な差異は認められなかった。<br/>結論 日本人単独世帯男性では,内分泌代謝疾患通院リスクが高く,全年齢にわたる生活習慣病対策を考える必要性が示唆された。
- 日本公衆衛生学会の論文