マウスにおける接触皮膚炎モデルの検討と大麦摂取の効果に関する研究
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概要
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【目的および方法】肥満とアレルギー疾患の関連性に着目した基礎研究は少なく,食物繊維としての大麦摂取による両者の抑制効果に関する研究も少ない.本研究では,BALB/cマウスとC57BL/6JマウスのF1であるCBF1マウスに高脂肪食(CO),大麦添加高脂肪食(BF)を与え,ハプテンの反復塗布によってアレルギー性接触皮膚炎の病態を形成し,食事内容の違いがマウスにおける接触皮膚炎に及ぼす影響および大麦添加によるアレルギー症状抑制効果の有無の検討を行うことを目的とした.【結果】BF群はCO群に比べ体重増加量が低い傾向にあり,飼料効率,腹腔内脂肪総重量,副睾丸周辺脂肪重量,後腹壁脂肪重量が有意に低値を示した.両群ともにハプテン(TNCB;トリニトロクロロベンゼン)を塗布した右耳の肥厚は左耳に比べ顕著に増加したが,耳介のトルイジンブルー陽性細胞数はCO群に比べてBF群で有意に少なかった.BF群で盲腸内容物のLactobacillus属の菌数が有意に多く,Bifidobacterium属の菌数は多い傾向にあった(p=0.065).BF群でClostridium coccoidesグループの菌数は有意に少なかった.Eubacterium属,Bacteroides属の菌数は,群間に有意差は見られなかった.【考察】マウスにおける接触皮膚炎の症状は食事内容および食餌性肥満と関連することが示唆された.また,大麦摂取によって肥満とアレルギー症状の両者が抑制されることが示唆され,その機構の一部に腸内細菌叢の状態変化が関与していると考えられた.
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