水疱性類天疱瘡ならびに天疱瘡の補体結合性抗体について
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概要
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蛍光抗体法を応用して水庖性類天疱瘡15例,天庖厨25例について In-vivo の補体沈着 In-vitro における各自己抗体(抗基底膜抗体,抗表皮細胞間抗体)の補体結合性について検討した.類天疱瘡患者血清中には殆んどの例で補体結合性抗体が存在したが,その抗体価は通常の類天瘡抗体価に比して低値であった.蛍光抗体直接法で病変部の皮膚基底膜部補体 C3 沈着が被検全例に著明に認められたが,血中補体価は必ずしも低値を示さなかった.また補体結合性類天疱瘡抗体価の推移と病状の間に相関はみられなかった.これに対し天疱瘡患者血清中には補体結合性抗体は25例中3例に見い出され,その抗体価は天疱瘡抗体価よりも低値を示した.天疱瘡患者病変皮膚の蛍光抗体直接法では,表皮細胞間に Acantholysis を中心とした補体 C3 の沈着が全例に認められたが,血中補体価は類天疱瘡と同様に,低値を示すとは限らなかった.経時的観察をすると補体結合性天疱瘡抗体の出現は,病極期に認められ早期に陰性化した.以上の結果からこれら2疾患では血中補体価の低下は必ずしも見られないが,直接法の所見,補体結合性抗体の存在することにより両疾患に共通する病変である水疱形成には補体系の積極的な関与が示唆された.しかしながら類天疱瘡の補体結合性抗体価の推移が不定であるのに比し補体結合性天疱瘡抗体の推移は通常の天疱瘡抗体と似た傾向を示し,両疾患では補体結合性抗体の水疱発現にかかおる態度に差異のありうることが示唆された.更に補体結合性類天疱瘡抗体を通常の類天疱瘡抗体とともに経時的に観察すると,妊娠性疱疹にみられる"HG因子"と類似の現象が見られ,類天疱瘡と妊娠性疱疹の関係を理解する上で興味深い知見と思われた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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