甘草のフラボノイド抽出物によるmelanogenesisの抑制効果―I―in vitro系について―
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概要
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吸光度法により甘草成分のフラボノイド化合物中に,tyrosinase活性阻害作用を有する成分が認められたため,B-16 mouse melanoma細胞およびヒト正常表皮を用いてin vitro系について検討した.このフラボノイドの疎水画分である甘草抽出エキスlicorice extracts(LE-1と略す)を添加培養したB-16 mouse melanoma細胞への14C-thiouracilの取り込みが,濃度依存性に抑制された.LE-1添加培養したB-16 mouse melanoma細胞は添加前は黒色であったものが肉眼的に白色化し,光顕的なdopa反応ではdopa陽性細胞が陰性化した.電顕dopa反応でもtyrosinase活性の高いGolgi野の嚢状,管状構造,coated vesicleやmelanosomeがほとんどdopa反応陰性を示した.また,電顕的にはstage Ⅱ,Ⅲ,Ⅳのmelanosomeの減少が認められた.しかし,細胞内小器官にはほとんど変化が認められなかった.さらに,polyacrylamide gel電気泳動法によるtyrosinaseアイソザイムの分析では,LE-1処理細胞のLGF(large granule fraction)のT1,T3tyrosinaseのアイソザイムは,LE-1無添加細胞のものよりも細いbandを示した.ヒト表皮を用いた剥離dopa反応では,dopa陽性細胞がほとんど陰性を示したことから,LE-1エキスはヒトmelanocyte内のtyrosinase活性をも阻害することが分った.以上のin vitro系の実験より,甘草抽出エキスLE-1が培養細胞内およびヒト表皮メラノサイト内のtyrosinase活性作用の阻害によるmelanogenesis抑制が確認された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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