増殖性皮膚疾患の表皮における増殖関連蛋白の免疫組織化学的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
尋常性乾癬,尋常性天疱瘡,ケラトアカントーマ,Paget病,扁平上皮癌,皮膚の悪性リンパ腫,その他の皮膚病変の生検凍結材料を,PC抗原(Ki-67),DNA polymerase-a,EGF-receptor,transferrin receptor(OKT9)などに対するモノクローナル抗体を用いて,免疫組織化学的に検討した.PCとDNA polymerase-aは,ほぼ同様の免疫染色態度を示し,両者とも尋常性乾癬の表皮基底細胞核がほぼ100%陽性に染まり,時には基底細胞より4層位上までの有棘細胞の核も陽性を示し,細胞分裂が盛んに行われていることを示唆する特徴的な所見が見られた。扁平上皮癌の真皮内転移巣上部の表皮や,悪性リンパ腫の転移リンパ節近くの表皮でも,PCとDNA polymerase-aに対し,乾癬表皮と類似の陽性所見を示し,尋常性天疱瘡の基底層及び水疱底の有棘細胞,Paget病の表皮内Paget細胞が陽性を示した.以上の所見から,PCとDNA polymerase-aの免疫組織染色は,細胞の分裂・増殖能を視覚的に捕えるために有用な方法と思われた.EGF-Rは,扁平上皮癌の原発巣,皮膚転移巣,リンパ節転移巣で強陽性を示し,また,真皮転移巣上部の表皮と,10例中3例の乾癬表皮でも陽性を示した.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
関連論文
- セザリー症候群の1例
- 扁平浸潤期菌状息肉症に対するPUVAと Interferon-γ 併用療法
- 皮膚科領域におけるgatifloxacinの基礎的・臨床的検討
- Granulomatous slack skin の2例
- 皮膚悪性リンパ腫・最近10年間の進歩
- 肺浸潤の認められた菌状息肉症の1剖検例
- 皮膚悪性リンパ腫・最近10年間の進歩
- 増殖性皮膚疾患の表皮における増殖関連蛋白の免疫組織化学的検討
- 横浜市大における皮膚リンパ腫の治療効果,予後についての検討
- 真皮の浸潤細胞における増殖関連蛋白の発現―腫瘍性増殖と反応性浸潤との比較―
- Cutaneous T cell lymphoma 患者の末梢血リンパ球サブセットと予後との関係について