顎関節症・咀嚼筋痛障害に伴う慢性疼痛へのトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠の使用経験
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概要
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目的:顎関節症・咀嚼筋痛障害の治療においては,開口訓練や認知行動療法などによるセルフケアがまず選択されるが,そのような治療では十分に症状改善が得られない症例に対して本報告ではトラムセット®配合錠(アセトアミノフェンとトラマドール塩酸塩の合剤)を処方し,その治療効果を検討した。方法:慶應義塾大学病院歯科・口腔外科の顎関節疾患・口腔顔面痛外来を受診し,顎関節症・咀嚼筋痛障害と診断された患者のうち,咬筋部,側頭部のいずれかに機能時の痛みを訴え,かつ臨床診査により咬筋,側頭筋のいずれかに圧痛を有し,罹病期間が6か月以上の患者のなかで,セルフケアや従来の薬物療法では十分な症状改善が得られず,初診時からの各診査時における疼痛がVisual Analogue Scale(VAS)で平均40 mmを超えた7例に対しトラムセット®配合錠を処方した。服用法は1, 2日目就寝前に1/2錠,3~5日目の就寝前に1錠,6~9日目の朝夕食後に1錠ずつ,10日目以降は毎食後に1錠ずつとし,症状に応じて適宜増量した。治療効果は錠処方前後の痛みの強さをVASで比較し副作用の有無も検討した。結果:トラムセット®配合錠処方前後で80%以上のVAS改善率を示した患者が2例,41~79%が3例,40%以下が2例であった。7例中2例が副作用として胃部不快感を訴えた。結語:セルフケアや薬物療法により十分な症状改善が得られない治療抵抗性の顎関節症・咀嚼筋痛障害に伴う慢性疼痛において,トラムセット®配合錠が有効である症例が存在した。
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一般社団法人 日本顎関節学会 | 論文
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