病院で死を迎える終末期がん患者の家族の添う体験
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概要
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本研究の目的は,病院で死を迎える終末期がん患者の家族の添う体験を当事者の視点から記述することにより,体験の意味を理解し,その意味を捉えたケアを検討することである.現象学的アプローチを用いて13名の研究参加者に非構造化面接を実施し,得られたデータを分析した.その結果,以下のストーリーが描き出された.病院で死を迎える終末期がん患者の家族は,覚悟したものと現実との懸け離れた状況のギャップにうろたえながらも,改めて覚悟の時期をつくり,患者の死が訪れるという現実を見据えていた.家族は時として患者の安寧を死にさえも優先し,求めてやまなかった.その一方で,叶わないと知りながらも患者の生を願い,自分の中に同時に沸き起こる相反する願いのギャップに消耗していた.また,家族はがんに対する無力感を基盤として大きな無力を感じながらも,自分でせめてもの役割を見出していた.さらに,患者への心配は尽きることなく,家族は改めて患者のもとへ心を向けるためにも,患者のことを考えないでいられる時間を求め,必要としていた.患者に添う期間が長くなると,家族は終わりが見えず,今の状況から抜け出したいと,そっと願うようになっていた.そして,終わりが見えてきたことで安堵し,最期の時をどこかゆったりと構えていた.以上より,こわれやすさと気丈さの相反する体験を十分考慮したケアの重要性が導き出された.
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公益社団法人 日本看護科学学会 | 論文
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