慣行肥育と草地肥育により生産された褐毛和種去勢雄牛の半腱様筋における肉質比較
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概要
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褐毛和種去勢雄牛(3頭,8~9ヵ月齢,311±4 kg,種雄牛:第十六光重)を用いて,配合飼料無給与で暖地型牧草(バヒアグラスおよびヒエ)放牧地と寒地型牧草(イタリアンライグラス)放牧地で周年放牧育成(草地育成期間)後,イタリアンライグラス草地で放牧を続けながら自家産のトウモロコシサイレージを併給する肥育方法により飼養(草地肥育期間)し増体と肉質を調査した.放牧期間および放牧期間中の1日増体量は,草地育成期間で287日および0.40±0.13 kg/日,草地肥育期間で164日および1.42±0.35 kg/日ならびに草地育成・肥育期間で451日および0.82±0.08 kg/日であった.草地育成および草地肥育期間ともに粗飼料のみで可消化養分総量自給率は100%であった.供試牛は24.7±0.6ヵ月齢で,体重650±22 kgで屠畜され,牛枝肉格付評価はA-2(1頭)およびB-2(2頭)であった.半腱様筋(<I>M. semitendinosus</I>)の肉質を慣行肥育去勢雄牛(24.5±0.4ヵ月齢,体重680±54 kg)と比較すると,脂質含量が有意(<I>P</I><0.05)に低くβ-カロテン含量が有意(<I>P</I><0.01)に高かった.また,3週間の冷蔵保存後の肉質比較も含めて剪断力価と活性酸素吸収能力(ORAC値)に相違はなく,味覚認識装置(味覚センサー)を用いた牛肉スープの官能評価値にも大差はなかった.しかし,冷蔵5日目に比べて冷蔵3週間目では慣行肥育および草地肥育牛肉ともに剪断力価の有意(<I>P</I><0.05)の低下およびORAC値の有意(<I>P</I><0.05)の上昇が見られた.加えて味覚センサーによる測定項目のうち先味(酸味A,旨味)および後味(にがり系苦味,苦味/薬)の値は有意(<I>P</I><0.05)に上昇し,先味(苦味雑味/薬,渋味刺激,甘味)および後味(旨味コク)の値は有意(<I>P</I><0.05)に低下した.従って,草地肥育牛肉は慣行肥育牛肉と同程度の肉の硬さ,抗酸化能力ならびに味を有することが明らかになり,筋肉中のβ-カロテン含量はこれらに影響しないことが示唆された.
- 日本暖地畜産学会の論文
著者
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守田 智
熊本県農業研究センター畜産研究所
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常石 英作
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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中村 好徳
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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金子 真
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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加藤 直樹
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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林 義朗
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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山田 明央
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター
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