1970 年から2010 年の渡良瀬川河川水の銅及びヒ素と濁度との関係
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概要
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本研究は,桐生市水道局が1970 年(ヒ素については1967 ~1969 年も含む)から2010年まで実施した渡良瀬川河川水の定点・定時観測での十数目の検査項目から,筆者らが上流の足尾銅山と密接な関係にある銅,ヒ素及び濁度に焦点を当て,それらの相関性,内陸鉱山の環境影響の継続性について分析・調査した結果を考察したものである。はじめに,取水口となる渡良瀬川赤岩地点における各年度の分析結果から,銅及びヒ素の濃度と濁度との相関の推移を求めたところ,それらの散布図から求められた相関係数は,それぞれ0.439 ~ 0.892 及び0.249 ~ 0.879 となり,t 検定により有意な相関であることが認められた。また,調査を開始した1970 年から10 年間の銅とヒ素との濃度推移を比較すると,銅の濃度は1975 年から1980 年の間で大きく減少していたのに対し,ヒ素の濃度は1970 年から既に減少していた。これより,銅は1976 年の草木ダム貯水開始が影響していたのに対し,ヒ素は貯水開始前からの鉱山側での排出水の施設整備等や1972 年の閉坑(採掘の中止)が影響していることが推察された。さらに,1970 年から2010 年時点まで10 年毎の渡良瀬川赤岩地点におけるバックグラウンド値を求めた結果,40 年間を通して銅のバックグラウンド値が43.0μg/L から3.8μg/L,ヒ素は1970 年から1980 年の10 年間で28.8μg/L から2.6 μg/L と1/10 以下まで低下していた。これより,1980 年以降,銅,ヒ素濃度及び濁度の年度平均がそれぞれ0.014 mg/L,0.004mg/L 以下及び17 度以下と安定したが,いくつかの年度では高い数値を示すことが分った。これは台風の襲来により草木ダムのダム放流が行われ,上流の鉱山由来の濁質が下流に到達したためと推察された。
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