当院における周術期口腔機能管理患者の口腔内状況および介入効果
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概要
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近年,周術期口腔機能管理による全身合併症の予防効果が明らかになり,平成 24 年度から周術期口腔機能管理が保険診療報酬としても評価されるようになった。今回われわれは,周術期口腔機能管理(口腔管理)を行った患者における口腔内の特徴と,歯科的介入が肺炎予防に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,当院で平成 24 年の 1 年間に口腔管理を行った患者 196 名について後方視的に調査した。原疾患への治療法や実施した歯科処置の内容について調査し,依頼の 82% を占めた上部消化管外科,心臓血管外科・循環器内科,耳鼻咽喉科,血液内科の上位 4 科においては,診療科によって口腔内状況や歯科治療に差があるか統計的に分析した。また,上部消化管外科から口腔管理依頼のあった 35 例(口腔管理群)を対象に,口腔管理を行っていない上部消化管外科手術症例(非口腔管理群)129 名と比較して,術後肺炎発症に差があるか検討した。歯科処置に関しては,どの診療科の患者に対しても歯周処置が多く実施されていた一方で,抜歯,義歯への対応は,耳鼻科,心臓血管外科・循環器内科の患者で有意に高かった。上部消化管手術後の肺炎発症率は,非口腔管理群では 7.8%(10/129 例)であったが,口腔管理群では 5.7%(2/35 例)と統計学的に有意に低かった(p=0.04)。 以上の結果より,周術期口腔機能管理の対象者では,何らかの歯科的介入が必要であり,また,依頼元の診療科ごとに口腔内の問題や対応に特徴が現れることが示唆された。さらに,周術期口腔機能管理が全身合併症の予防に効果的であることが改めて示唆された。
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一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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