要介護高齢者における義歯補綴治療と呼吸・循環動態
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概要
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高齢者にとって, 心身が虚弱な状態であっても質の高い生活を送るためには, なるべく自立した生活を確保し, 自らの持てる力を回復, 維持することが重要であるとされており, 咀嚼や発語をはじめとする顎口腔系機能の維持・管理はこの指摘の基本的因子であると考えられる。しかしながら, 老人病の特徴として, 多病性とホメオスタシスの破綻が挙げられているとおり, 義歯補綴診療時に全身的偶発症が発生する可能性があることはいうまでもない。<BR>本学歯学部附属病院は訪問歯科診療を実施しているが, 今回, 平成8年4月から平成11年3月までに診療を行ったケースを対象として, 診療内容, 診療場所, 処置回数, ならびに患者の有する主たる基礎疾患を分析し, 訪問歯科診療における問題点や改善点などについて検討した。さらに, 診療中の呼吸・循環動態の変動に関する検討を加えた。<BR>処置内容としては, 歯の欠損に伴う有床義歯補綴治療に関する処置が全体の約83%を占め, その内訳は, 義歯の修理およびリライニングが49%, 残りの34%が新義歯製作であった。<BR>循環動態に関して, 義歯による疼痛を有する患者に対しての義歯調整時に, 収縮期血圧およびRPP値の有意な増加が認められた。この結果は, 在宅要介護患者に対する義歯補綴治療を行う際には, 適正な診査・診断・治療計画の立案とともに, 可能な限りのバイタルサインのチェックとモニタリングを行うことの重要性を示唆していると考えられる。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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