体感異常症 (セネストパチー) の2症例に対する歯科的対応:
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
体感異常症 (セネストパチー) は本来精神科の疾患であるが, 症状が口腔内に出現することから身体科である歯科を受診する機会が多く, 何らかの対応が求められる。最近経験した高齢者のセネストパチーと考えられた2症例から, 歯科医師における本疾患に対する対応について考察する。<BR>症例1 : 78歳, 男性。主訴は, 歯の裏側のエナメル質が溶けゴムのように伸びる透明なものが次から次に出るで, 精神科での治療を強固に拒否した。傾聴, 受容を中心として訴えを否定することなく本疾患の病像を具体的に説明し, 歯科領域にもあることを説明したところ, 症状に対する不安が解消した。薬物療法を併用したが病態自体に変化がなく, これ以上の歯科での治療には限界があることを伝え, 最終的にはスムーズに心療内科での治療を承諾し治療を依頼した。<BR>症例2 : 76歳, 男性。主訴は, 口の中から螺旋状のバネ, 毛, 棒のようなものが出てくるであった。脳外科, 耳鼻科, 歯科などを受診しているが, いずれも異常なしと言われていた。同様に本疾患について説明したところ, 話を聞いてもらえたとのことで当科での治療を希望した。3カ月後には, 気づき, 洞察が得られ治療を終了とした。<BR>本疾患に対する歯科の対応としては, 精神科医などとの密なリエゾン療法, または患者の了解が得られた段階で, 早期に精神科などに治療を依頼すべきであると考えている。そのためにも, 歯科医師の精神科的疾患に対する理解と心身医学の習熟が重要であると考えられた。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
- 要介護高齢者における義歯補綴治療と呼吸・循環動態
- 加齢, 栄養, 飼育飼料形態および咬合支持が高週齢ラットの全身持久性と下顎骨および大腿骨骨塩量に及ぼす影響
- Dental visiting treatment of bedridden aged in Yokohama city. The satisfactory results and the future view.:The satisfactory results and the future view
- 各種義歯洗浄剤のバイオフィルム形成Candida albicansに対する除去効果
- 重度の痴呆を有する口腔癌の1例