嚥下内視鏡検査を用いた咀嚼時の舌運動機能評価―運動障害性咀嚼障害患者に対する検討―
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概要
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本研究では, 介護老人福祉施設に入居する要介護高齢者に対して摂食時の外部観察評価と嚥下内視鏡検査 (以下, VE検査) を行い, VE検査で観察される舌の動きが咀嚼運動の評価として適切であるか検討することを目的とした。<BR>対象は, 2007年4月から2008年3月の間に, 摂食機能の評価を希望した介護老人福祉施設に入居する要介護高齢者29名 (平均80.9歳, 男性14名, 女性15名) である。対象者が日常摂取している食事を用いて摂食時の外部観察評価およびVE検査を施行し, それに基づき食形態指導を行った。さらに, 本研究にあたり記録された外部観察とVE検査のビデオ画像より, 以下の項目について評価した。評価項目は, 外部観察評価では下顎の回転運動, 口角の引きとし, VE検査では, 咀嚼機能評価として舌根部の側方運動, 嚥下機能評価として, 咽頭残留および喉頭侵入・誤嚥とした。これらの関係について検討した。<BR>舌根部の側方運動は34.5%が不良であり, 咽頭残留は62.1%, 喉頭侵入・誤嚥は48.3%に認められた。評価項目のうち, 外部観察評価の下顎の回転運動とVE検査による舌根部の側方運動の評価との間に (p<0.001) , 口角の引きと舌根部の側方運動との間に (p<0.001) , 有意な関係が認められた。また, これらの評価を検討した結果, 評価に応じた食形態の指導をしていた。<BR>VE検査で観察される舌根部の動きの特徴と外部観察評価とを組み合わせることで, 咀嚼時の舌運動機能を適切に評価できる可能性が示された。
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一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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