アデノウィルス感染症後に生じた一過性ループスアンチコアグラント陽性低プロトロンビン血症の1例
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概要
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5歳女児。四肢の紫斑と鼻出血,腹痛,下痢で当科受診された。初診時,四肢に数個づつの淡紫紅色斑がみられた。淡紫紅色斑を触診すると硬結を触れたが圧痛は伴わなかった。組織検査では真皮深部から脂肪織に赤血球の血管外漏出を著明にみとめた。血管炎はみとめなかった。検査所見は末血・生化学・CRPは異常無く,尿潜血陽性であった。APTTとPTは延長,第II因子活性値は低下しており,抗核抗体80倍,補体値低下,LAは陽性であった。アデノウィルス補体結合試験は512倍であった。ホスファチヂルセリン依存性抗プロトロンビン抗体と抗プロトロンビン抗体は急性期のIgGとIgMは陽性であった。回復期はIgGとIgMともに陰性化し,LAやPT,APTTおよび補体値も正常化した。入院安静のみにて腹部症状,皮疹ともに軽快し約10日後に退院した。アデノウィルス感染後の一過性ループスアンチコアグラント陽性低プロトロンビン血症と診断した。4年経過するが出血傾向の再燃なく,健康に暮らしている。
- 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会の論文
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会 | 論文
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