EBMによるスキンケアの再評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アトピー性皮膚炎の治療においては皮膚炎の鎮静化を図るのみでなく,バリア機能障害などの皮膚の機能異常を改善させることを目的としたスキンケアも重要であることは多くの皮膚科臨床医に常識的に認識されているものと思われる。しかしその重要性はevidenceをもって証明されているか否かは不明である。これまでに公表されているアトピー性皮膚炎の治療に関するsystematic reviewはCochrane groupの「Systematic review of treatments for atopic eczema」とBritish Medical Journal Publishing Groupの「Clinical Evidence」のみである。これらによって見いだされたアトピー性皮膚炎のスキンケアに関するランダム化試験の報告は5件のみであった。それらのsystematic review以降に発表された報告は1件見られた。これらによって尿素軟膏,乳酸アンモニウム外用薬の他,数種の保湿外用薬の有効性が報告されている。しかしこれらは幾つかの保湿外用薬の効果比較であるにすぎず,保湿外用薬を用いることでステロイド外用薬の使用量を節約できるか,あるいは寛解期のアトピー性皮膚炎患者の寛解期間を延長できるものであるか否かという命題に解答を与えるものではない。今後はこの疑問に答えうる臨床試験を計画する必要があると思われる。
- 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会の論文
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会 | 論文
- ―カラーライブラリー―巨大脂漏性角化症の1例
- 輪ゴム絞扼が原因であった皮膚潰瘍の1例
- In vivo共焦点レーザー顕微鏡を用いた扁平母斑に対するレーザー治療の効果検討
- 乳幼児アトピー性皮膚炎患者を対象とした低刺激性スキンケア製品(シャンプー,泡状洗浄料,乳液)の使用試験
- 1家系4世代にみられた色素失調症