広範囲に出血斑を伴った右肩皮下に生じた慢性拡張性血腫 (Chronic expanding hematoma) の1例
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概要
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80歳,男性。約6ヶ月前より右肩前面に誘因なく皮下腫瘤が生じ,増大してきた。約1ヶ月前から周囲に出血斑が出現し,範囲が拡大したため当院を紹介され受診した。超音波エコー検査と造影 MRI 検査にて,筋膜上に球形の嚢腫を認め,内部は液体成分で下床に一部固形成分を示す部分が見られた。臨床および画像所見上は悪性軟部腫瘍との鑑別が困難であったが,穿刺吸引した液体は陳旧性血液で異型細胞は見られなかった。局所麻酔下に嚢腫を開窓し,嚢腫壁を除去し掻爬して一期的に閉鎖した。病理組織学的に慢性拡張性血腫 (chronic expanding hematoma) に合致するものであり,悪性所見は見られなかった。術後,出血斑も改善し,約半年間再発を認めていない。慢性拡張性血腫を疑ったときにはより侵襲性の低い嚢腫壁の除去掻爬する手術法も有用で,選択肢の1つになると考えた。(皮膚の科学,10: 289-294, 2011)
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日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会 | 論文
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