早期診断が難しかった子宮頸部上皮内癌を伴った頸部浸潤性腺癌の 1 例
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概要
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背景 : 子宮頸部腺系病変は最近増加傾向にあるが, 自然史が充分に解明されていないこと, 細胞採取や診断の難しさもあり, 扁平上皮系病変に比べて早期発見が難しいという問題がある.症例 : 31 歳, 女性. 子宮頸がん検診で扁平上皮系の異型細胞を指摘され経過観察を開始した. 経過観察中に腺系の異型細胞を認め手術治療を施行したところ, 上皮内癌を伴った頸部浸潤性腺癌と診断された. 細胞診の再検討では, 扁平上皮系, 腺系および両者の所見を併せ持つ異型細胞集塊の存在があった. さらに病理組織および免疫組織化学所見の検討でも, 上皮内癌の腺侵襲部分に扁平上皮系と腺系の両方の性格を併せ持つ中間的な異型細胞の存在が推察された. また, 腺系の異型細胞が深部にのみ認められ, さらに増殖能が高い腫瘍であることがわかった. これらが, 頸部腺癌の早期発見が難しかった要因と考えられた.結論 : 扁平上皮系の細胞診異常で経過観察中の場合, 出現細胞に扁平上皮系と腺系の両者の所見を併せ持つ異型細胞集塊がないかなど, 腺系の異型細胞の存在を念頭に置くことが大切だと思われた.
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特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会 | 論文
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