穿刺吸引検体におけるセルブロックの有用性
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概要
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目的 : 細胞検体のセルブロックは, 塗抹標本よりも組織構築の判断が容易で, 特殊染色の追加も容易である. しかし, 通常の細胞診標本よりも作製に手間がかかるため普及していない. 当院では, 塗抹標本では診断が難しい穿刺吸引細胞検体について, セルブロックを用いている. そこで, 有用であった例を呈示するとともに, その有用性について考察する.方法 : 通常どおり穿刺吸引した細胞検体を, Ebis 1 セルブロック作製キット (アジア器材, 東京) を用い, 添付マニュアルに沿って, セルブロックを作製した. パラフィン包埋ブロックから, HE 標本と未染色標本を作製し, HE 標本を観察後, 必要な免疫染色を行った.成績 : 2008 年 5 月∼2009 年 10 月の間に, 頸部病変 25 件 (リンパ節 17 件, 甲状腺 3 件, 頸部腫瘤 5 件) と軟部腫瘤 2 件のセルブロックを作製した. リンパ節は, 癌の転移巣診断 11 件, 原因不明のリンパ節腫大 5 件と悪性リンパ腫治療後再発疑い 1 件であった. リンパ節 17 件中 12 件で癌の転移が確認された. 甲状腺と頸部腫瘤は, いずれも腫大の原因判定目的であった. セルブロック診断は, 癌 2 件, 悪性リンパ腫 2 件, 診断不能 1 件であった. 軟部腫瘤は癌の既往のある患者の転移の判定であった.結論 : 穿刺吸引細胞検体のセルブロックは, 生検が困難な部位, あるいは生検が困難な状態の患者の病変の病理診断に有用である. 病変としては, 転移性腫瘍の原発巣推定と, 悪性リンパ腫と癌の鑑別には有用であったが, 炎症性病変の診断は難しかった.
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特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会 | 論文
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