子宮頸部扁平上皮癌における放射線治療/化学療法の治療効果判定―細胞診の精度管理と報告のあり方―:—細胞診の精度管理と報告のあり方—
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概要
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目的 : 子宮頸部扁平上皮癌 (以下頸癌) を対象とした放射線治療 (以下放治)/化学療法 (以下化療) の治療効果判定における細胞診の日常診断を分析し, 精度向上を計るための報告のあり方について検討した.方法 : 頸癌と診断され初期治療として放治/化療が行われた 53 例 (放治単独 13・放治/化療同時 40) の細胞診標本 207 件, 組織診 102 件を用いた. 細胞診断の実状を分析し, 陽性・陰性・判定困難に分けて再評価を行った. 組織診断の再評価, 画像診断とも対比検討し, さらに Ki-67 の発現, Human papilloma virus (以下 HPV) の感染動態についても解析を行った.成績 : 30 Gy 時の陽性率は 69%, 再評価でも 69%と同様であった. 40-60 Gy 時では陽性率は平均 32%でほぼ横這いを示したが, 再評価では 40 Gy : 44%, 50 Gy : 30%, 60 Gy : 13%と漸減を示した. 細胞診標本で陽性と判断された場合の Ki-67 指数は 30%, 陰性 0.6%, 判定困難 6%で, 組織標本でもほぼ同値を示した. 治療前に, 組織標本上 in situ hybridization で HPV 感染が証明されたのは 64%で, これらは治療中も感染が持続していた. 画像診断との対比では細胞診評価と 73%が一致した.結論 : 頸癌の治療効果判定には臨床情報を基本に総合的な判定を行い, 患者個々の所見を時系列的に捉えていくことで細胞診の精度向上が期待できる. ベセスダシステムには十分に整備されていない領域として, 独自に「記述主体の報告 (陽性・陰性・判定困難) 」を推奨したい.
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