新たなHPV感染所見―空胞を有する細胞とは―:—空胞を有する細胞とは—
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概要
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目的 : koilocyte と判定できない空胞を有する細胞に対して HPV 感染の有無を調べ, 特徴的な空胞所見により HPV 感染を推定することが可能か検討した.方法 : 対象は ASC-US (atypical squamous cells of undetermined significance) 151 例, LSIL (low grade-squamous intraepithelial lesion) 11 例, NILM (negative for intraepithelial lesion or malignancy) 140 例の細胞浮遊液である. HPV 同定には L1-PCR 法, HPV 感染細胞の同定には in situ PCR 法を用いた. なお空胞細胞は核に対する空胞の局在性で A∼D に分類して検討した.成績 : ASC-US の 90.7%, LSIL の 100%, NILM の 21.4%で HPV 感染が認められた. in situ PCR 法で HPV を検出した結果, HPV 陽性率は空胞細胞 A : 86.1%, B : 7.8%, C : 44.4%, D : 9.3%であり, 空胞細胞 A と HPV 感染に有意な関係が認められ, 相対危険度は 29.4 であった. また NILM, ASC-US 例において空胞細胞 A は HPV の検出特異度が 90%以上であった.結論 : 氷河的空胞細胞 (glacial vacuole cell, GV) と名づけた空胞細胞 A の存在は HPV 感染を強く疑う新たな所見であり, 細胞診検査で GV を検出することによって, HPV の検出感度向上に貢献できると考えられた.
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特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会 | 論文
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