耳垢腺腫の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
背景 : 耳垢腺腫は, 外耳道に存在する耳垢腺に由来するまれな良性腫瘍で, その細胞像に関する報告はなされていない. 今回術中迅速捺印細胞診で推定しえた耳垢腺腫の 1 例を経験したので報告する.症例 : 34 歳, 男性. 右耳漏・難聴にて近医を受診した. 右外耳道後上壁腫瘍および外耳道炎を指摘され, 当院耳鼻科で右外耳道腫瘍摘出術を受けた. 切除材料の一部が術中迅速細胞診および病理組織検査に提出された. パパニコロウ標本では, 豊かな好酸性顆粒状細胞質を有する上皮細胞が平面的な集塊を形成していた. 細胞質内にはオレンジ G 好性顆粒が充満し, この顆粒は PAS 染色陽性であった. 好酸性細胞には, 小型核小体がみられ, 核には軽度の大小不同を認めたが, 核クロマチンは均等に分布し, クロマチンの増量は乏しかった. 好酸性細胞集塊内には, 筋上皮細胞と考えられる小型濃染核を有する裸核状細胞の付着を認めた. 以上の細胞学的特徴と発生部位を考慮し, 耳垢腺腫と推定した. 病理組織学的検索で耳垢腺腫と診断した.結論 : 術中迅速捺印細胞診で, 特徴的な好酸性顆粒状細胞質をもつ異型性に乏しい上皮細胞の出現と, 筋上皮細胞の確認により, その組織型の推定が可能であった.
- 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会の論文
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会 | 論文
- Cytology of Carcinoid of Digestive Organs
- T-cell rich B-cell large cell lymphoma.
- Symposium on borderline lesions. 1. Aspiration cytology of lymph nodes with special reference to malignant lymphoma.
- A case of endometrioid adenocarcinoma, so-called secretory variant.
- Significant factors influencing the accuracy of PTCD bile cytology for bile duct lesions.