赤紫色花のソフロニチス ウィッチジアナ(ラン科)から単離されたアシル化シアニジン3,7- ジグルコシド
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Sophronitis wittigiana の赤紫色花から 3 種類の新規アシル化シアニジン 3,7 ジグルコシド(色素 1–3)を主要アントシアニンとして同定した.これら 3 つの色素はシアニジン 3,7- ジグルコシドをデアシル体とし,それぞれの化学構造は化学およびスペクトル分析による構造解析の結果,シアニジン 3-O-[6-O-(マロニル)-β-(グルコピラノシド)]-7-O-[6-O-(トランス–カフェオイル)-β-グルコピラノシド](色素 1)とそのデマロニル体(色素 2),および,シアニジン 3-O-[6-O-(マロニル)- グルコシド]-7-O- グルコシド(色素 3)であった.一方,朱赤または赤色の S. acuensis,S. brevipedunculata,S. cernua,S. coccinea var. xanthoglossa および S. grandiflora から S. coccinea と同じ 5 種類のアシル化したシニアジン 3,7,3 ′- トリグルコシド(色素 4–8)が主要アントシアニンとして得られた.これら 5 種類のアントシアニンは既知の Sophronitis coccinea anthocyanin(SCA)1–5 との TLC,HPLC,および紫外可視部吸収スペクトルによる比較分析により,色素 4 が SCA1,色素 5 が SCA2,色素 6 が SCA3,色素 7 が SCA4,そして,色素 8 が SCA5 として同定された. これらの結果から,朱赤または赤色の 6 分類群のソフロニチスにおけるアントシアニンの 3,7,3′ 位の 3 つの水酸基にはアシル化したグルコースとグルコースの両方,または,どちらかが結合しているが,赤紫色の S. wittigiana の花のアントシアニンでは,シアニジン骨格の B 環の 3′ 位の水酸基はグルコシル化されていないことが分かった.よって,S. wittigiana の花色が朱赤や赤色でなく赤紫色に色調が青色方向に変化している主要な原因はシアニジン骨格の 3′ 位の水酸基の非グルコシル化が原因であると考えられた.
- 園芸学会の論文
園芸学会 | 論文
- 液状マルチ資材の散布がコマツナの生育, 収量ならびに地温に及ぼす影響
- 生分解性鉢による育苗がトマトの生育ならびに養分含有率に及ぼす影響 : 第2報定植後の生育(繁殖・育苗)
- 生分解性鉢による育苗がトマトの生育ならびに養分含有率に及ぼす影響 : 第1報定植前の生育(繁殖・育苗)
- トマトの開花期における小花柄の脱離過程
- トマト果実の完熟後における小果柄の脱離組織の形態的変化