カンキツ果実におけるカロテノイド代謝酵素 関連遺伝子の eQTL 解析
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概要
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カンキツの育種において,カロテノイド代謝酵素遺伝子の発現プロファイルはカロテノイドの含有量と組成を制御する重要な要因の一つである.これらカロテノイド代謝経路に関与する遺伝子の制御因子を明らかにするため,交雑集団を用いて eQTL 解析を行った.この交雑集団において,フィトエン合成酵素(PSY),フィトエン不飽和化酵素(PDS),ς- カロテン不飽和化酵素,β- 環水酸化酵素(HYb),ゼアキサンチン・エポキシ化酵素(ZEP)の eQTL が検出された.これら検出された eQTL は,これらカロテノイド代謝酵素遺伝子の発現に関与する cis- あるいは trans- 制御因子に関連していた.このうち,PSY,HYb,ZEP の eQTL として示唆されたそれぞれの遺伝子座領域には,各々の当該遺伝子がマッピングされていた.この結果は,これら 3 遺伝子の 5′-UTR の多様性が遺伝子発現レベルに影響を与えていることを示唆している.対照的に,PDS と ZDS の eQTL には当該遺伝子はマッピングされていなかったが,trans- 制御因子が座乗していた.さらに,これら 2 遺伝子の eQTL は重複していた.この結果から,PDS と ZDS の発現レベルは共通の転写因子によって制御されていることが示唆された.一方で,リコペン β- 環化酵素と 9- シスエポキシカロテノイドには有意な eQTL が検出されなかった.eQTL 解析によって得られた結果は,いくつかの遺伝子の発現について cis- あるいは trans- 制御の関連を推察し,カロテノイド高含有化育種のための選抜マーカー作成の可能性を示した.
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